100の技術② ブロックチェーン
まもなく5G時代になり、様々な機器からデータを集め、それを活用するようになります。
5G時代では、データを集めるのはIOT、データを保存するのはクラウド、データをどのように使えばよいのかを考えるのはAIが活躍します。
そして、それらのデータを管理する方法が、今回紹介させて頂くブロックチェーンです。
- IOTとはインターネット・オブ・シングスの略で、モノとインターネットをつなげること。例えば、靴とインターネットをつなげて、消費カロリーの見える化を実現できたりします。
- クラウドとはユーザーがサーバー等を持たなくても、インターネットを通じて、データやサービスを必要な時に必要な分だけ利用できる考え方。例えば、スマホの写真をスマホのストレージに保存するのでなく、クラウド上に保存できたりします。
- AIとは「Artificial Intelligence」の略で日本語では、人工知能。一般的にAIと呼ばれるものには「人が指示することなく自動的に作業を行う能力」「経験や学習によって能力を向上させる能力」が備わっています。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンを一言でいうと、
革新的なデータを管理する考え方です。
ブロックチェーンとは、ネットワーク上のコンピューターに、暗号技術を組み合わせて、取引情報などのデータを記録していく方法です。別名、分散型台帳とも言います。
一定期間の取引データをブロック単位にまとめ、コンピューター同士で検証し合いながら正しい記録をチェーン(鎖)のようにつないで蓄積する仕組みであることから、ブロックチェーンと呼ばれます。
ブロックチェーンが利用されている例としては、『ビットコイン』や、お笑い芸人キングコング西野亮廣氏が行っている『レターポット』などの仮想通貨です。
ブロックチェーンを構成する考え方は4つあります。
これら一つ一つを見ると、以前から存在する考え方ですが、その組み合わせ方が新しく、革新的ですので、一つずつ解説していきます。
①P2P(Peer to Peer・ピア・トゥ・ピア)
ブロックチェーンで最も重要な技術です。
日本人が発明し、現在SNSアプリ「LINE」「Skype」などに使われています。
P2Pとは、ネットワーク上で機器間が接続・通信する方式の一つで、機能に違いのない端末同士が対等な関係で直に接続し、互いの持つデータや機能を利用しあう方式のことです。
クライアント-サーバ 型ネットワークとよばれます。サーバーとクライアントは一対一の通信を行うのが特徴で、中央集権型です。
クライアントやサーバといった役割の違いがなく、同等の機能が実装されたソフトウェア(コンピュータを動かすプログラムやデータのこと)が接続を結び、互いにデータや機能を提供し合います。
P2Pネットワークではメインのサーバーが存在せず、個々の端末(Peer)が持つ権限が同一であり、それが互いに信頼し合うネットワークシステムです。
構成する全ての端末(Peer)に分散してデータを管理させるので、故障などのトラブルに見舞われてもシステム全体がダウンすることが無いのが大きなメリットです。
●P2Pのメリット
・システム全体がダウンすることが無い
・サーバーが無いので安価な運用が可能
●P2Pのデメリット
・端末(Peer)からデータを書き換えられる可能性がある
・データの流出時に食い止める手段がない
P2P技術を応用し、ブロックチェーンに収納されたデータをユーザーみんなで監視しようという考え方です。P2Pのデメリットを減らす技術です。
DLTを利用すると、不正取引や改ざんができないこと、そして、システムダウンに強くなります。
台帳をネットワーク上で分散し、多くのユーザーがチェックをすることで不正取引や改ざんをできないようにします。
万一データが改ざんされても、すぐ誰かが気付くことができ、あとからどこでデータが変更されたかを調べることが可能です。
データをユーザーみんなで監視するときに使われる技術です。
ブロックチェーンは過去のデータも含めて保存し管理します。
最新のブロックと一つ前のブロックの暗号が一致しない場合は不正があったとみなされます。
そのため、不正をするには、すべてのブロックのデータを改ざんする必要があり、不正をすると他の監視者がすぐに気が付き、事実上改ざんは不可能と言われています。
例えば、データの送信側がI am Bobというデータを送ったとすると、この文は秘密鍵によって暗号化されます。
この時、暗号化すると、さっきの文はL dp Ereのような暗号化テキストに変換されます。
しかし、この暗号化テキストを見ただけでは、これが本当に送信側の人がL dp Ereと送ったかどうかはわかりません。
そこで、暗号化する時に使った鍵の対になっている鍵で、L dp Ereという暗号化テキストから、I am Bobに変換されます。
これが暗号化です。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンにパソコンやスマホの取引した中身が正しいものであるかどうかを確認する監視役を、誰に任せるかを決める方式のことです。
コンセンサスアルゴリズムは有名なものが5つありますが、難しいので、今回は説明を省略します。
下の図は、その中の一つで、ビットコインで使われる「POW(プルーフ・オブ・ワーク)」という仕組みです。
まとめ
ブロックチェーンのメリットは3つ
①信頼性がある
分散型による参加者全員が全データへのアクセスができるので、そのデータの透明性(=信頼性)があります。
②一元管理ではない
ブロックチェーンの構造上、分散型によってシステムが実質的にダウンしません。
③セキュリティ強化
データが全て暗号化されており、一度生成された取引記録は元のデータに戻せないようになっています。ブロックチェーン内のデータは、実質改ざんができないので、セキュリティ面での強化されています。
教育とブロックチェーン
ブロックチェーンはさまざまな産業で応用可能な技術です。
教育業界でも応用されるかもしれません。具体的には、ブロックチェーンを利用し『受験がなくなる』かもしれません。
現在は、学習者の評価を定期テストで行う定点観測が行われています。
しかし、ブロックチェーンを応用し、学習ログを日常的に記録するような常時観測ができれば、受験一発勝負で合否を決めることは無意味になるかもしれません。
ブロックチェーンでは、その人がどのようなことを学び、どのような能力を持っているかを多面的に評価できるようになるため、将来、受験の形が変わるかもしれません。
ごまちゃん
やった。じゃあ勉強しなくていい?
いいえ。受験の形が変わっても授業での発言や、小テストで評価が付きます。
おばら
ごまちゃん
そっか。結局、勉強は必要だね。
ブロックチェーン関連の知識やスキルは、5G時代で活躍していくうえで必須となるため、早めに勉強しておくとよいと思います。
おばら