100の技術③ 全固体電池

今回は、「全固体電池」について書きたいと思います。

「全固体電池」は、すでにペースメーカーなどの特殊な用途に使われていています。

しかし、コストがかかるため、スマートフォンや電気自動車(EV)にはまだ使われていません。

現在、スマートフォンに使われているのは中身が液体(ゲル状と液体)の「リチウムイオン電池」です。

リチウムイオン電池の開発では、去年ノーベル化学賞を受賞された、吉野彰さんが多大な功績を残されています。

リチウムイオン電池は非常に性能がよいのですが、そのリチウムイオン電池の次世代の電池が全固体電池です

全固体電池のすごい点は3つあります。

安全性が高い
高速充電ができる
形状の制約がない

これらを一つずつ説明します。

①安全性が高い

リチウムイオン電池の欠点として、電池の中身が液体(ゲル状と液体)であることです。

この液体が液漏れすると、人体に悪影響を及ぼし、また非常に燃えやすいので安全面に細心の注意を払わなければなりません。

たまにスマホが爆発や発火したりする事故を耳にしますが、これもリチウムイオン電池の液漏れから起こるものです。

しかし、全固体電池であれば、中身は固体なので発火の恐れがなく、安全です。

熱にも強いため、自動車の部品としても使いやすくなります。

②高速充電ができる

リチウムイオン電池が使われている日産自動車「リーフ」でいうと、80%充電するのに30分ほどかかります。

それに比べて、全固体電池になると10分程度で充電できると言われています。

電気自動車を購入をためらう人の言い分に、『充電に時間がかかる』との声も多いのですが、このデメリットを解消できます。

③形状の制約がない

リチウムイオン電池は、液体がはいっているため、液漏れをしないように、液体を格納する箱が必要になり、その結果、ある程度の大きさが必要になります。

一方、全固体電池であれば、液漏れの心配もないので、曲げることもできますし、穴が開いても使えるなどメリットがあります。

全固体電池の課題

まだ、量産体制の技術が完成していない事です。

また、これまでのリチウムイオン電池の生産ラインをそのまま使うことができず、もし作るとしても莫大な設備投資が必要になるため、現状は難しいようです。

まとめ

全固体電池は水分を使わないので温度変化にも強く安全性が高いです。数分でフル充電ができ、形状に制約がないので、IOTに合わせた様々な電化製品開発に、大きな貢献をしてくれると思います。

「名古屋オートモーティブワールド2019」でトヨタは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、従来のリチウムイオン電池に代わる「全固体電池」を搭載した電動モビリティの開発を進めていることを明らかにしました。

今回のコロナの影響で、延期することになるかもしれませんが、全固体電池搭載自動車の続報に期待したいと思います。

 

参考資料:

世界を変える100の技術

次の投稿の「電池の仕組み」も、よろしければご覧ください。

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